2013年6月14日金曜日

TMDS系 DVI/HDMI

TMDS系インターフェイスは、クロック伝送用一組と、その10倍の頻度で動作するデータ伝送用三組の信号線を用いる。データ伝送一組では1クロックあたり10ビットの伝送が可能ということになるが、10ビットのうち2ビットはパリティとして?使われるので、三組で実際に伝送できるデータ量は1TMDSクロックあたり24ビット。RGB各色8ビットであれば、1TMDSクロックで1ピクセル分の伝送ができることになる。アナログ伝送と違って電圧の違いで多値を表現することは無いので、1ピクセル24ビットより上の多色表示を行う場合は、より高いTMDSクロックで駆動する必要がある。

DVI

メインのデータ伝送はTMDSを基本とし、DDC/EDIDでディスプレイ情報の取得と、ホットプラグを可能にしたもの。シングルリンクでのTMDSクロック上限は165MHz。1999年DVI1.0策定当時の技術では、それ以上クロックを上げるのが難しかったらしい。

シングルリンクDVI発展の流れ

2000年前後からDVI出力機能のGPU統合が始まり、2002年にはMatrox、ATi、nVIDIAの三社が最低一系統のDVIを実装するに至った。しかし、LCDパネルがSXGA→UXGAと高解像度化・・・より高クロックな伝送が要求されるに従って、各社内蔵DVI出力の品質のばらつきが指摘されるように。(ちと長いけど参考に→Tom's hardware ExtremeTech AnandTech)

対応策として各社は、ディスプレイドライバ側でDVIの出力解像度を制限したり、内蔵トランスミッタを無効化して、ビデオカード基板上により高品質な外部トランスミッタを載せる等の処置を取った。

デュアルDVI仕様のRadeonX800(製品名失念)の基板上に搭載されていたSiI1162。R420系GPUはRAMDAC二系統、TMDSトランスミッタ一系統を内蔵。セカンダリDVI出力には、このような外部チップを用いた

また2003年には、VESAにより、非CRTを前提としたモニタタイミングの見直しが行われている。

「今までは、CRTの電子ビーム移動待ち時間を含めて必要ピクセルクロック計算してたけど、LCDなら電子ビーム使わないから、帰線期間もっと削減できるよね」ってことで、タイミング規格CVTにReduced Blankingが含まれることに。

これによって、DVI1.0策定時点のモニタタイミング規格では、デュアルリンクが必要だったWUXGA@60Hzの、シングルリンクでの利用が標準化された。

帰線期間削減はDVI1.0規格の中で既に言及されており、CVT-RB策定前から各社適当にReduced Blankingを適用していたようではある。これは、Asus V9520 VideoSuiteのDVI-UXGA出力時のモニタタイミング。左側が基板上のSiI162トランスミッタ、右側がNV34内蔵トランスミッタのもの。ActivePixelsは変わらないものの、水平同期信号部のFrontPorch/SyncWidth/BackPorchは大きく異なる。

結局のところ、主要GPUベンダーの内蔵トランスミッタがUXGA/WUXGAを出力するに十分な品質を得るようになるのは2004年以降。Apple等はUXGA/WUXGAを60Hz-24bppで出力可能なDVIを、便宜上フルシングルリンクと呼んだ。

シングルリンクDVI出力機能内蔵開始時期とフルシングルリンク対応時期
AMD(ATi) Intel Matrox nVIDIA
2008 フルシングルリンク・以降最低一系統のHDCP対応 G45 /Eaglelake 以降最低一系統のHDCP対応 GF9 Series /G9x
2007 以降最低一系統のHDCP対応 HD3k Series /R6xx
2006 X1950XTX等ハイエンドからシングルリンクHDCP対応開始
2005 ハイエンドからHDCP対応開始 GF7 Series /G7x
2004 フルシングルリンク GF6 Series /NV4x
2003 外部チップによる?フルシングルリンク P650 /ParheliaLX UXGAまで GFFX Series /NV3x SiliconImage・シングルリンク225MHzトランスミッタ発表 VESA・CVT Reduced Blankingの標準化
2002 SXGAまで? GF4Ti,MX Series /NV2x, NV1x Apple・CinemaDisplayHD(WUXGA)ディスプレイ登場
2001 フルシングルリンク? RadeonVE /RV100
2000 SXGAまで G450 SXGA未満? GF2GTS /NV15 SiliconImage・HDCP対応PanelLinkトランスミッタ発表
1999 DVI1.0策定 SiliconImage・165MHzDVIレシーバ発表
1998 SiliconImage・112MHzDVIレシーバ発表

DVI規格は1999年以来更新されておらず、現在に至るまでシングルリンク165MHzの上限は変わっていない。・・・あくまで規格上ではだけど。

デュアルリンクDVI

「クロックを上げられないなら信号線を増やせばいいじゃない。」ということでデータ信号線を倍にする(シングルリンクTMDSトランスミッタをペアで用いる)ことで帯域を倍にしたもの。

DVI1.0策定当時はDVI受けのCRTディスプレイを想定していたようだが、一般に普及するようになったのは、WQXGAパネルを使ったLCD製品が登場した2004年以降。

必要ピクセルクロックとと画面解像度/リフレッシュレートとの関係デュアルリンク版。WQXGAやWQHD、そしてFullHD@120Hzなどが、デュアルリンク接続を必要とする画面モードになる。

なお、デュアルリンクDVIとしての動作が期待できるのは、出し側/ケーブル/受け側ともデュアルリンク対応の場合で、いずれかがシングルリンクの場合、シングルリンクDVIの範囲内で動作する。

デュアルリンクDVI対応開始時期
AMD(ATi) nVIDIA
2008 GF9x00Series /G9x 以降最低一系統対応・HDCPのデュアルリンク対応
2007 HD3kSeries /R6xx 以降最低一系統対応・HDCPのデュアルリンク対応?
2006
2005
2004 X850XT /R480 ハイエンド品から対応開始 GF6800Ultra /NV48 ハイエンド品から対応開始 Apple・CinemaHD Display(WQXGA)登場

Intelは、デュアルリンクDVI対応は行っていない。

DVI関連の端子の種類
出し側デバイスのレセプタクル
DVI-I

VGA/DVI共用端子。VGA出力のできないDVI-I端子はあるが、DVI出力のできないDVI-I端子は無い。

DVI-D

DVI専用端子。2000-2010年くらいまでの間は、DVI-Dを採用する出し側デバイスは少数派だった。自分が記憶している限りでは、2000年台前半ではG550のデュアルDVI版くらいか。

デュアルリンクでの伝送が可能なレセプタクルは上記二種。デュアルリンク/シングルリンクを区別する端子色分けルールは無いので、カードメーカーがDVIのリンク仕様を明示してくれないと困りもの。

DMS-59

高密度型DVI端子。通常のDVI端子一つ分の面積で、DVI-I二つ分の役割を果たす。LowProfile等ハーフハイトの1スロットビデオカードでは、DVI端子を二つ並べることができないので開発されたもの。DisplayPort登場以前に、QuadroやFireGLなど業務用カード系で採用されていた。端子規格上ではデュアルリンクには対応しない。

HDMI

HDMI規格では、DVI to HDMI、HDMI to DVI、いずれの場合でもDVI1.0の範囲内で互換性を確保すべきものとしている。

DisplayPort

DPには、DPの信号形式しか出力できないもの(Native DisplayPort)と、シングルリンクDVI/HDMIの信号形式も出力できるもの(DualMode DisplayPort又はDP++)がある。

DVIに繋げるには、前者の場合はアクティブアダプタ、後者の場合はパッシブアダプタが必要。DVI to SL-DVIの変換アダプタで特にアクティブとか書かれていないもの、もしくはDP++のロゴが付いているものはパッシブアダプタと思っていい。

受け側デバイスのレセプタクル
DVI-I

VGA説明記事にも書いたが、近年では受け側ディスプレイでDVI-Iレセプタクルを用いることはなくなっている。

DVI-D
HDMI
プラグとしてありうる端子

プラグケーブル側は、銅線を節約したシングルリンク用のものと、デュアルリンク対応のものに分かれる。

DVI-I

画像はデュアルリンク対応のDVI-Iプラグ。DVI-IプラグはDVI-Dレセプタクルには差さらないので、DVIでの伝送を目的とする場合は、わざわざDVI-Iプラグケーブルを選ぶ必要は無い。

DVI-D

上はシングルリンク用DVI-Dプラグ。下はデュアルリンク対応DVI-Dプラグ。デュアルリンク対応ケーブルは、もちろんシングルリンク接続にも使える。

最近のディスプレイ製品に同梱されるDVIプラグケーブルは、どれもDVI-D型。

DVIインターフェイスの今後

VGAの廃止ともにDVI-I端子も無くなる予定。

  • http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Graphics_board_mini-HDMI_and_DVI-I_connectors_IMGP0972_wp.jpg
  • http://commons.wikimedia.org/wiki/File:DVI_D.jpg
  • http://commons.wikimedia.org/wiki/File:DMS-59
  • http://commons.wikimedia.org/wiki/File:DVI-Stecker.JPG

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